ビジネスシーンのみならず、普段の生活でも敬語はとても重要な言葉です。
間違った敬語は、話し相手に違和感を与えてしまい、人によっては不快感を与えてしまいます。
ここでは、大人ならしっかり理解しておきたい基本的な敬語や言い回しについて紹介します。
目次
基本的な敬語を使いこなす!
敬語といっても、基本的で簡単なものからとっさに出にくいものまで様々。
丁寧に話しているつもりでも、過剰に意識しすぎると何を言っているのか分かりにくくなってしまうので注意しておきたいところ。
スムーズに尊敬語・謙譲語が出てくれば、あなたの印象もいいものになりますよ。
丁寧語は基本中の基本
・あります→ございます
・どうしますか→いかがなさいますか
・分かりました→承知いたしました、かしこまりました
・いいですか→よろしいでしょうか
上記の文言は、間違っているわけではありませんが、目上の人に対して使っているようだとレベルが低い。
仕事における言い回しにはふさわしくないので丁寧な言い方に変えていけるようにしましょう。
「あるのか」「ないのか」を尋ねられ、「あります」ではなれなれしく思う人も多くない。そんな時は「ございます」と丁寧に言うのが基本です。
同じように「どうしますか?」ではなく「いかがなさいますか?」
「これでいいですか?」だと、やはり配慮に欠けるので「これでよろしいでしょうか?」です。
指示をされた際や、注文を受けたという場合には「分かりました」ではなく「承知いたしました」「かしこましました」が適しています。
他の丁寧語の例
・○○に伝えます → ○○に申し伝えます
・誰 → どなた
・どこ → どちら
・さっき → さきほど
・今日 → 本日
・昨日 → さくじつ
・明日 → みょうにち
尊敬語と謙譲語
・尊敬語・・・目上の人を立てる際に使用する
・謙譲語・・・自分をへりくだる際に使用する
尊敬語
取引先に連絡をして、「○○さんはいますか?」と聞くと、目的は伝わりますが失礼にあたります。
「○○さんはいらっしゃいますか?」が適しています。
尊敬語は、目上の人の行動に対して、相手を立てる時に使用すると覚えておきましょう。
・する → なさる、される
・言う → おっしゃる、言われる
・行く → いらっしゃる、おいでになる
・来る → いらっしゃる、おいでになる、起こしになる、お見えになる
・知る → お知りになる、ご存じ
・いる → いらっしゃる
・見る → ご覧になる
・食べる → 召し上がる、おあがりになる
・買う → お買いになる、お求めになる
・聞く → お聞きになる
・思う → お思いになる、おぼし召す
・考える → お考えになる、ご高察なさる
・読む → お読みになる
・座る → お掛けになる
・会う → お会いになる、会われる
・帰る → お帰りになる、帰られる
・待つ → お待ちになる、お待ちくださる
・分かる → お分かりになる、ご理解いただく
・伝える → お伝えになる
・与える → くださる、お与えになる
・利用する → ご利用になる
・受け取る → お受け取りになる
また、場所や物についても自分の立ち位置で言い回しが変わってきます。
・家 → 御宅(おんたく)
・店 → 貴店(きてん)
・銀行 → 貴行(きこう)
・学校 → 貴校(きこう)
・新聞 → 貴紙(きし)
・雑誌 → 貴誌(きし)
・地位 → 貴職(きしょく)
謙譲語
謙譲語は、自分をへりくだることで相手を立てる時に使用。
・する → いたす、させていただく
・言う → 申す、申し上げる
・行く → うかがう、参る
・来る → うかがう、参る
・知る → 存知る、存じ上げる、承知する
・いる → おる
・見る → 拝見する
・食べる → おただく、頂戴する
・買う → 買わせていただく
・聞く → 拝聴する、うかがう
・思う → 存じる、拝察する
・考える → 拝察する、検討いたしました
・読む → 拝読する
・座る → お座りする、座らせていただく
・会う → お目にかかる
・帰る → おいとまする
・待つ → お待ちする
・分かる → かしこまる、承知する
・伝える → 申し伝える
・与える → 差し上げる
・利用する → 利用させてください
・受け取る → 賜る(たまわる)、頂戴する、拝受する
場所や物について
・家 → 拙宅(せったく)
・店 → 弊店(へいてん)
・銀行 → 弊行(へいこう)
・学校 → 弊校(へいこう)
・新聞 → 弊紙(へいし)、小紙(しょうし)
・雑誌 → 弊誌(へいし)、小誌(しょうし)
・地位 → 小職(しょうしょく)
よく間違いがちなのが、「了解しました」という言葉。
正しくは「承知しました」「かしこまりました」となります。
「しばらくお待ちください」は「少々お待ちください」。
「○○にお伝えしておきます」は「○○に申し伝えます」。
「ご苦労様です」は「お疲れ様です」。
ちょっとした言い回しの違いですが、尊敬語と謙譲語を間違って使っていると相手に不快感を与えてしまいます。
さりげなく使いこなせれば、信頼度もグンと高まることでしょう。
「お」の付けすぎに注意
・頭につける「お」を使いすぎない
社会人としてのキャリアが浅い時期にやりがちなのが、丁寧にしようとして「お」を多用すること。
「おビールをお飲みになりますか?」などと何でもかんでも「お」を付けてしまっては不自然極まりない。
自分では丁寧にしなければという思いからこのような表現をしたのかもしれませんが、これは恥ずかしい表現なので注意しましょう。
基本的には、外来語のような単語には「お」は付きません。お茶だったらOKですが、ビールやコーヒーなどにはNGです。
敬語を使いすぎない
・敬語を重ねない
例えば、上司が資料を読むというシーンで「資料をお読みになられますか?」と言ったらどうでしょうか。
「お」を付けた上で、「なられますか」という敬語を重ねてしまっていますよね。
意味は通じますが、違和感を感じませんか?
正しくは「資料をお読みになりますか?」となります。
過剰なまでの敬語は、常識のなさを相手にアピールしているようなものなので特に注意したい。
社外の人のに対して上司のことは何て言う?
・社外の人対して身内を紹介するときは敬語に気を付ける
・上司でもさん付けで紹介しない
社内では上司に対して敬語を使うことは常識ですが、社外の人に対して上司のことを紹介するときは言い回しが変わってきます。
社外の人からすると、上司であろうが部下であろうが同じ会社の社員という認識となります。
もちろん、どちらが上司でどちらが部下かは分かっているでしょうが・・・。
例えば、社外の人に上司を紹介する時に
「課長の○○がいらっしゃったのでご紹介いたします」
と言ってはいけません。
正しくは「課長の○○が参りましたのでご紹介します」です。
自分の会社の上司よりも、社外の人の方が目上だという認識でいればそういった間違いは起こしにくい。
社外に対しては、謙譲語を使うのが一般的です。
もちろん「課長の○○さん」と「さん」付けで呼ぶのもNG。
上司の家族には尊敬語
・上司の家族に使う敬語は尊敬語
上司の家族に出くわす場合もあるかと思いますが、社外の人だからといっても上司の身内なので尊敬語を使うようにする。
もし、上司の奥さまから会社に電話がかかってきたとします。
電話を受けた際に、「○○は、ただいま席を外しております」と言ったらどう感じるでしょうか?
この言い方は、社外の人に対しては正解ですが、奥さまなどに対しては
「○○部長は、ただいま席を外してらっしゃいます」
と、尊敬語が適しているので、注意しておきたい。
もちろん、「いつもお世話になっております」と言うのも当たり前のマナーです。
まとめ
敬語には大きく分けて、丁寧語・尊敬語・謙譲語の3つがあり、話し相手や目的によって使い分けるようになっています。
新人の頃は使い分けが難しく思うこともありますが、さりげなく使いこなすことができればスマートな大人と言えるでしょう。